2007年05月16日

* 式日  * 配給

* 式日

校長先生は 漆黒の礼服
 壇上の机には 光る塗り箱
奉安殿より 移し来るもの
 まず恭々しく 箱に一礼
白手袋が 紐を解く
 
 厳かに 箱の蓋を外し
内から取り出す 巻物一巻
 左右に拡げて 勅語の朗読
頭を下げて 唱和せよ
 式日毎の 繰り返し
もう記憶(そら)で 僕等は云える

 もしも忘れて 不可(いけ)ないものなら
何処かに大きく 張り出せば良い
 僕には大きな 声など出せぬ
皆で校歌を 歌うのも苦手
 口だけ大きく ぱくぱく開けて
何時も唱える 振りをする




* 配給

今日学校で 布靴(ズック)の配給
五十人の学級に たったの5足
籤に外れた 足の悪い友は
 「僕には下駄が 履けないのに」と
皆の前で 泣いた

五足の布靴しか 無いのなら
数が揃うまで 待てば良い
そしたら全員に 遍く渡る
誰の気持ちも すっきりしよう
放課後 先生に進言した

「お前は そう云うけどな
この次の 配給など
もう 無いかも知れぬ
誰も足に 合わなくなる
余計な 心配などするな」

叱りながら 先生も
哀しそうな 顔をした