2007年05月21日

* 囀り(2)

* 囀り(2)

大海原を 飛翔する
大(だい)なる翼も 備え得ず
白鳥の美とも 縁遠し
只管(ひたすら) 人の間近に居て
草の根啄(ついば)み 昆虫を追う
稲穂の実り 窺(うかが)うとしても
案山子(かかし)に怯える 小心翼翼
雀の一生 歓びたるや何

人と雀に 何ほどの差
人に偉業あり とは師の教え
偉人は生涯に 大義を就(な)し
遍(あまね)く 万物の上にあり

ピテカントロプス ペキナンシス
ネアンデルタール クロマニヨン
標本室には 頭蓋(もけい)が並ぶ
進化を続けて ホモサピエンス
今や偉業も 成し遂げる

紀元は 二千六百四年
文字を起こしつ この年月
偉業を伝える 数多(あまた)の記録

遥けき昔 暗黒の宙天に日輪出来(しゅうらい)
すでに半分 燃えしと聞く
残余が 三十五億年
三十五億年に 比するなら
二千年余は 束の間のこと
偉業を伝えたとして 数百年

アレキサンダー 成吉思汗(じんぎすかん)
世界をその手に 征すと云う
昔の偉業を 尋ねしとしても
今なら 誰が讃えよう
偉業を成すも 成さざるも
人は生きて ただなる五十年
雀の短命 いかにして嗤う
日輪と共に すべてが滅ぼす

雀に偉業は 成し得ない
朝日に囀(さえず)り 北風に舞う
囀り唄うが 歓びならば
それならそれで 可(よ)しとすべし
雀は身体を 鍛えない
痩せたる雀は 痩せしまま
肥たる雀は 肥えしまま

痩せた吾が身を 鍛え抜き
生涯の功を 軍人に問うや
心に偉業を 求めぬならば
軍人である 要も無し
偉業と 無縁のままに生き
小さき囀(さえず)り 歓びあらば
吾は 雀のように生きたし

大なる顕彰 墓石も無縁
路傍に死すも それまた可(よ)し


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