2007年06月24日

*心の虫  *死   *砂

*心の虫

蚕は口から 糸を出し
己れの周りに 城築く
   まるく滑らか 糸の城
   人 その城を 繭(まゆ)と呼ぶ


繭に籠(こも)った その虫は
黒く乾いた 暗い虫
   さなぎと化して 世を過ごす
   繭に守られ 身を隠す


寄る辺(べ)なき児(こ)に 城は無く
己れの心に 繭を持つ
   繭の内容(なかみ)は 暗い冬
   ただひたすらに 春を待つ




*死

凍(い)て蝶の 弱々しき舞い
 しろじろと花 宵闇に咲く
蝶は地に堕ち 花萎(しお)る
 我もまた 闇に溶け込む





*砂

陽に温められし 川砂に
   座して流れの 音を聞く


指に掬えば さらさらと
   砂は零(こぼ)れて 風に散る


両手に水を 汲みあげて
   盛りたる砂の 上に注(さ)す


濡らせし砂が わが玩具
   虚ろに砂の 城 築く