2007年07月16日

*天佑神介

傘屋の店主(おやじ)が 防空演習の指揮
奥さん達を 大声で叱る
常々は 腰の低い人柄なのに
束の間の役目に 人は酔う


一作日皆で 天井板を剥がした
類焼の原因(もと)に なるからだという
空から爆弾を 落とされれば
家そのものが 無くなるというのに


埃の道を 新兵さんが行く
襷(たすき)と鉢巻が 痛々しい
魚の目をした 兵隊さん
鳥の目をした 兵隊さん


配給所員は 量目をごまかし
配給所同士で 融通し合う
闇の味噌醤油を 偉い人に届けた
志(こころざし)あるなら 口になどするな


輝く鴉(とび)は 歴史と共に去り
煌(きら)めく武将も 姿を消した
この世に正義など ありはしない
人は自分を 騙しながら死ぬ


民は焼かれて 街々に死に
兵は撃たれて 異国(とつくに)で死ぬ
老若男女 いずれは死ぬのに
天佑神助ありと まだ戯(ざ)れ事を吐く





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